事業用不動産(建物・土地)の引渡し時チェックポイント
2026/02/27
貸主・借主・売主・買主のための「トラブルを防ぐ」実務ガイド
事業用不動産の取引において、契約締結と同じくらい重要なのが「引渡時の現況確認」です。
「契約したから大丈夫」と過信していると、引渡し後に次のようなトラブルに発展するケースが少なくありません。
設備の不具合:「動くはずのクレーンやシャッターが故障していた」
鍵の不足:「スペアキーの数が合わず、セキュリティ設定ができない」
境界の認識違い:「隣地とのフェンスの所有権で揉めている」
残置物の放置:「撤去依頼をしたはずのゴミや什器が残っている」
今回の記事では、工場・倉庫・オフィス・土地などの引渡しで押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

引渡しの鉄則は「現地での指差し確認」と「記録」
事業用不動産は、住宅に比べてチェック範囲が広く複雑です。
以下の3つのステップを参考に確実に進めましょう。
① 契約内容と現地の状態を照らし合わせる
対象範囲・境界の確認(境界標・ブロック・フェンス等):現地で指差し確認して、必要なら簡単な図で共有するとわかりやすいです。
接道と搬入ルート:大型車両の出入りに支障がないか、引渡し時の現況を改めて見ておくことで、運用開始後の「思わぬトラブル」を防げます。
② 物件・設備の状態を確認・共有する
設備の動作確認(電気・水道・空調・トイレなど):工場・倉庫では、三相電源・動力・キュービクル・クレーン・荷物用リフトなどがある場合、通常の確認よりも丁寧な確認が必要です。
雨漏り・漏水・ひび割れ・破損の有無:気になる箇所は、その場で共有しましょう。
残置物の有無:「使ってよい物」なのか、「撤去すべき物」なのかを明確にし、記録に残すことが大切です。
③ 精算・受領物の「エビデンス」を残す
鍵・カード・リモコン類の受け渡し:「何を何本受け取ったか」を一覧にして残すと安心です。
引渡し時の状態を写真等で記録しておく:「最初の状態」が残っていると、原状回復や修繕負担の話がしやすくなります。
受領物をその場で確認する(鍵・書類・資料):受け取った内容を一覧化し、双方で確認しておくと安心です。
メーター・精算関係の確認をする:精算ルールは契約によって異なるため、確認しながら進めましょう。
実務でよくある「5つの見落としポイント」
トラブルを未然に防ぐために、以下の「見落としポイント」に注意してください。
1. 「設備がある=使える」という思い込み
古い空調やクレーンなどは、長期間未使用だと故障している場合があります。
「現況有姿(そのまま)」なのか「性能保証」があるのかを再確認しましょう。
2. 鍵の「本数」と「種類」の不一致
マスターキー、スペアキー、セキュリティカード。
後から「足りない」となると、シリンダー交換費用が発生し、責任の所在で揉める原因になります。
3. 残置物の「処分費用」を曖昧にする
「これくらい置いておいてもいいだろう」という甘い認識が、万単位の処分費用トラブルを招きます。
口頭ではなく、必ず写真付きで記録を残しましょう。
4. 図面と現地の「微細なズレ」の放置
土地の境界などは、図面だけで判断せず、必ず現地で隣地との関係性を見ておくことが、将来の紛争リスクを下げます。
5. 「引渡し時」の写真を撮り忘れる
退去時の「原状回復」の基準になるのは、引渡し時の状態です。
入居・所有開始時の写真を細かく残しておくことが、将来の自分を守ることにつながります。
事業用不動産の引渡しに不安がある方へ
大型倉庫や工場、店舗などは、住宅とは比較にならないほど「設備・用途制限・管理範囲」が複雑です。
引渡し当日に慌てないよう、事前の契約内容の整理と、専門家を交えた現地確認をおすすめします。
後悔のない取引のために、まずは「見て・確認して・記録する」という基本を徹底しましょう。
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(3)8600号
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