境界未確定の不動産取引のリスク
2025/04/30
不動産売買取引における「境界未確定」が引き起こすリスクと境界確定の重要性
不動産取引において「境界の未確定」は、思わぬトラブルを招く大きなリスクです。
本記事では、境界未確定によって起こりうる代表的なトラブルと、取引前に境界を確定する重要性について、評価的・客観的な視点から整理して解説します。
不動産売買における「境界未確定」の主なトラブル例
1. 隣地所有者との越境問題
壁やフェンス、樹木などが隣地に越境していることが後から発覚し、撤去や移設を求められる可能性があります。
2. 敷地面積の誤差による損害賠償請求
実測面積と登記面積が大きく異なる場合、買主から損害賠償を請求されることがあります。
3. 境界標(杭)がないことによる隣地トラブル
どこまでが自分の土地か分からず、隣地との間でトラブルや紛争に発展するリスクが高まります。
4. 擁壁・ブロック塀の所有権争い
敷地を区切る擁壁や塀の所有権が不明確で、修繕費や管理責任を巡り争いが起こることも。
5. 土地利用制限の発覚
境界確定後に敷地が想定より狭いことが判明し、予定していた建築計画が実現できないケースもあります。
6. 隣地所有者からの立ち入り禁止要求
これまで慣習的に利用していた隣地への立ち入りを拒否され、建物メンテナンスなどに支障が生じることがあります。
7. 敷地内インフラ設備の権利関係問題
給排水管やガス管などが隣地をまたいで敷設されていた場合、移設や契約見直しを求められるリスクがあります。
8. 再売却時に買主がつかない
境界未確定物件はリスクが高いため、将来の売却時に敬遠され、売却が難航する恐れがあります。
9. 訴訟リスク・法的手続き費用の負担増
隣地所有者との紛争が訴訟に発展し、弁護士費用や測量費用など想定外のコストを負担することになります。
10. 境界トラブルによる資産価値の低下
境界問題を抱える物件は、評判悪化や市場評価の低下により、資産価値自体が下がるリスクもあります。
不動産売買取引における境界確定
不動産売買において、取引前に境界を確定することは、後々のトラブルを防ぐために極めて重要です。
具体的な手順は以下の通りです。
現地測量の実施
専門の測量士によって土地の実測を行い、境界線を正確に把握します。
隣地所有者との立会い
測量結果をもとに隣地所有者と立ち会い、境界の確認と相互合意を行います。
境界標の設置
合意に基づき、杭などの境界標を物理的に設置します。これにより境界が明確になります。
確定測量図の作成
立会い結果を反映した「確定測量図」を作成し、将来的な証拠資料とします。
登記の修正(必要な場合)
実測面積が登記と異なる場合には、土地地積更正登記を行い、正式な記録として残します。
費用と時間について
境界確定には一定の費用と時間がかかります。
しかし、その後の安心感を考えれば、取引時点で実施するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
まとめ
境界未確定のまま不動産取引を進めることは、「今すぐのトラブル」だけでなく、「将来的な大きな損失」にもつながりかねません。
不動産売買を円滑かつ安全に進めるためには、取引前に必ず境界確定(筆界確認)を済ませることが重要です。
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(3)8600号
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