貸地を借りる際のチェック項目
2020/04/07
立和コーポレーションが取り扱う貸地を借りる!
立和コーポレーションで取り扱う貸地は、「建物を目的としない土地賃貸借」が主となっています。
「建物を目的としない…」
立和コーポレーションの主な営業エリアである、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県にて、貸地を借りる際に、お客様に注意して頂きたい点を記事にしました。
すこしでもお客様の安全な不動産取引のお役に立てば幸いです。
目次
立和コーポレーションで取り扱う貸地は、「建物を目的としない土地賃貸借」
お客様からよくお問い合わせをいただく内容で、
Q.
「建物を目的としないとは? 建物は建ててはだめなの?」
A.
契約書の内容で、「建物」「建造物」の所有が一切できない旨が明記されます。
「建物を目的としない土地賃貸借」は、借地借家法の適用がないものと解釈し、貸主の賃貸リスクをできるだけヘッジした契約方法です。
ちなみに、「借地借家法」とは、「建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権について、その権利の存続期間と効力等について特別の定めをしている法律」とされています。
民法では、賃貸借契約の期間の上限は50年(※西暦2020(令和2)年4月1日の民法改定前は20年でした。)
契約期間を55年としても無効となります。
借地借家法の普通借地権だと、30年間となり、賃借人の希望により更新も認められます。
賃貸人、賃借人それぞれに解約予告期間の設定が可能。
契約期間を優先します。
賃借人にとっては、契約期間の保全が不安定になります。
比較的移転の難しくない「車両置き場」や「資材置き場」の利用が主流になっています。
貸地の供給される区域について
貸地(以後は、「建物を目的としない土地賃貸借」のことをいいます。)には、都市計画区域内の区域分類・用途地域の地域分類はあまり多く関係してきませんが、農地転用届出許可・インフラ整備状況・騒音振動規制などには注意が必要です。
次から少しわかりやすく、区域に関すること、地目や農地転用に関することついて書いていきます。
まず、貸地の供給の多い区域についてです。
このページのあとの方で記事にしていますが、「東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の貸地供給状況」で「市街化調整区域」というワードがよくでてきます。
この「市街化調整区域」に貸地が多く供給されています。
また、お客様からのお問い合わせでも、「市街化調整区域ってなに?」とよくご質問を頂きます。
「市街化調整区域」とは、都市計画区域(線引き都市計画区域)内で分類された区域で、「市街化を抑制すべき区域」となります。
もう少し詳しい説明が、「東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で貸工場・貸倉庫を借りる際のチェック項目」にあります。「ぜひチェックしてください。」
簡単にわかりやすく例えると、「一般的に開発行為・建築行為はできない区域です。例外はありますが、都市計画法・条例・地区計画・地域地区などを参照する必要があります。」
開発や建築行為が抑制されている区域にある土地なので、活用方法も限定され、「建物を目的としない土地賃貸借」の貸地が多くなるわけです。
上下水道の整備も無いケースが多いです。
その他に貸地が供給される区域として、「非線引き都市計画区域」や「市街化区域」があります。
「非線引き都市計画区域」とは、都市計画区域内で分類された区域で「市街化区域」「市街化調整区域」に区分されません。
市街化の圧力が弱く、土地利用に関する規制が緩やかで、開発許可の規制も緩やかです。
「市街化区域」とは、「市街化調整区域」と同じく、「線引き都市計画区域」内に分類された区域です。
「市街化調整区域」とは大きく違い、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」となります。
用途地域ほか、制限にならって開発行為・建築行為が可能な区域です。
貸地の地目について
土地の登記簿に「地目」の項目があります。
不動産登記法により、その土地を総合的・客観的に判別し、認定された「土地用途」となり23種類あります。
雑種地 = 他22の地目の内、どの地目にもあてはまらない土地
宅 地 = 建物の敷地およびその維持、もしくは効用を果たすために必要な土地
田 = 農耕地で用水を利用して耕作する土地
畑 = 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
山 林 = 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
実際の土地の利用状況と登記簿の「地目」が一致していない場合があるので注意が必要です。
例えば、
ケース
実際の土地の利用状況が、なにも建物が建っていない更地で、登記簿上の「地目」は雑種地と想定されるが、「田」や「畑」などの農地になっている。
まれにこのケースがあります。
現況を見るとほぼ「雑種地」かなぁと判断できても、実際登記簿を確認すると農地だったと…
所有者・貸主に農地転用の確認をすると…「していない」とか…「したが、ずいぶん前で、転用目的が変わっている」など…
車両置き場や資材置き場目的で使用するには、農地のままでは使用できません。
農地転用の手続きが必要となります。
ケース
実際の土地の利用状況が、なにも建物が建っていない更地で、登記簿上地目は雑種地と想定されるが、「山林」になっている。
など…
貸地の登記簿上の「地目」は、ほとんどが「雑種地」もしくは「宅地」になっています。(まれに「山林」も)
現況は、雑種地という表現ではイメージできないので、ケースとしては建物はなく更地になっている状態がほとんどとなります。
農地の場合は、農地転用の手続き完了後、造成が完了して、土地利用が可能となります。
農地転用の手続きについては、次に説明します。
農転(農地転用)手続きについて
「田」や「畑」などの農地である土地を、農地以外の利用目的に変更する場合は、地目変更する為に農地転用手続きをする必要があります。
この農地転用手続きは、各市町村の農業委員会(都道府県)に申請します。
農業委員会への「届出」を行います。
非線引き都市計画区域・市街化調整区域の場合
農業委員会の農地転用「許可」を受ける必要があります。
「許可」手続きに要する期間は市町村毎に異なりますが、経験から4~8週間くらいです。
農地からの事業開始だと、土地賃貸借契約してから農地転用、造成して、引渡しまで数ヶ月を要する可能性もある為、事前の確認が必要です。
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の貸地供給状況
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県での貸地の供給状況です。
都県毎で、かなりざっくりしています。
より詳細のものは、また改めて記事にしたいと思います。
東京都 比較的少ない供給です。
23区は特に少なく、湾岸エリア、足立区周辺に少し供給されています。
多摩地域は、23区寄りは少なく、八王子市周辺に少し供給されています。
ほとんどが、市街化区域の物件になります。
神奈川県 比較的供給されています。
横浜市・川崎市は1物件あたり200坪くらい、湘南・県央・相模原エリアは200~500坪くらいの規模の物件が中心に供給されています。
大型車両が接車可能な物件に需要があります。
市街化調整区域の物件が多くなっています。
埼玉県 比較的供給されています。
高速道路インターチェンジ周辺・大型車両が接車可能な物件に需要があります。
市街化調整区域の物件が多くなっています。
千葉県 比較的供給されています。
東京23区寄り・大型車両が接車可能な物件に需要があります。
市街化調整区域の物件が多くなっています。
貸地を見学する際のチェックポイント
接道・経路道の道路幅員や道路交通規制などの確認
出入りする車両の規模で最大のものを想定して、道路幅員や交通規制についての道路調査が重要です。
接道のみ気にしがちですが、利用経路の調査も行いましょう。
交通規制については、現地確認はもちろんですが、管轄する警察署でも確認ができます。
契約に向けて、現地での物件調査の際のことです。
周辺の大通りから物件までの道路に大型規制は無かったのですが、接する道路で物件より少し南に離れたところに少し幅員が狭くなった緩やかなカーブがありました。
なんとなくですが、大型規制は無いものの、ここで大型車両どうしのすれ違いができるのか心配になりました。
大型車両が立ち往生する光景が想像できたからです。
管轄する警察署に確認したところ…
「大型規制は無いのですが、出来るだけ大型車両の通過は避けてほしい。」とのことでした…すこしびっくりしましたが。
お客様は大型車の出入りを前提としておられましたので、その旨をお伝えしたところ、同様に驚いておられましたが、北側からの経路のみでも問題なしの回答を頂きました。
後からわかって、不便な経路に変更だとお客様にご迷惑を掛けるところで…事前に分かってよかった事例です。
道路から出入りする間口や歩道の切り下げ幅の確認
周辺環境の確認
貸地の利用に際し、周辺環境への影響に注意しましょう。
早朝深夜の作業や車両の出入りがある場合には特にです。
建物が既存する物件の貸地分類について
立和コーポレーションのホームページでは、物件情報を種目毎に分類をしていますが、建物(事務所や店舗)が既存し、駐車場の割合が広い物件についても貸地に分類しているケースがあります。
契約種別は「建物賃貸借契約」になりますが、利便性からそのようにさせて頂いております。
広めの駐車場のある物件をお探しの方にとって、探しやすいようにしています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の「建物を目的としない土地賃貸借」の貸地についてまとめてみました。
主に車両置き場や資材置き場が利用目的となる貸地です。
車両置き場では運送業の方の認可車庫、資材置き場では建設業や設備工事業の方の資材置き場利用が事例としては多いです。
この記事が、貸地をお探しの方に少しでもお役に立ては幸いです。
最後までお読みいただき有難うございます。今後共、宜しくお願い申し上げます。
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(2)8600号
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