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アスベスト事前調査について | 横浜市の補助制度も

2024/02/16

一般的には、「石綿」(いしわた)と「アスベスト」が同じ意味で使用されていますが、本記事では「アスベスト」に統一しています。

建築物にアスベストが使用されていると、そこを利用する人が健康障害をおこすおそれがあります。
さらに、不動産取引に当たり、アスベストの使用が不明のままでは、通常はアスベストがあるものと評価され、建築物自体の資産価値を下げることになります。
不動産売買取引においてアスベストの有無は、不動産価格決定に大きな影響あたえる事由となり、また売買契約後のトラブル防止のためにも、アスベスト事前確認調査が実施されるようになってきています。

アスベストとは、天然に産する繊維状の鉱物であり、丈夫で、熱に強く、酸・アルカリ等の薬品に強く、腐らず、熱・電気を通しにくく、他の物質とよく密着する等の優れた性質を有し、値段も安価であったため、建築材料やボイラー等の設備の部品、電気製品、自動車等に広く利用されました。
しかし、石綿の繊維は、ヒトの髪の毛の5,000分1程度で、極めて細く、ヒトが吸入すると、中皮腫や肺がん、石綿肺などの病気を引き起こす可能性があることから、段階的に規制が行われ、現在は石綿を含む製品の輸入や使用等は全面的に禁止されています。

アスベストについては、建築物を使用している段階から改修を行う段階、解体する段階まで、各種法令で規制が設けられています。
現在、アスベストの使用は禁止されており、新築する建築物についてはアスベストを利用することはできませんが、2006年以前に建築された建築物であれば、アスベストが使用されている可能性があります。
それらの建材が損傷、劣化することによりアスベストが飛散し、労働者がばく露するおそれのあるときは、労働安全衛生法及び石綿障害予防規則に基づき、アスベストの除去等の措置を行う必要があります。
吹付アスベスト

アスベストと建物に関係した重要な法令改正など

【1987年】
1987年に、建築物の耐火構造の指定から、アスベストを使用した構造が除外されました。

【1989年】
大気汚染防止法改正が1989年に改正され、アスベストを特定粉じんとみなし、製造施設の届出、および敷地境界での測定基準が定められました。

【1995年】
特定化学物質等障害予防規則が1995年に改正され、アスベストを1%超含む吹き付け材が禁止されました。
また同年に、労働安全衛生法施行令が改正され、クロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)の製造、輸入、使用が禁止されました。
さらに、労働安全衛生規則により、耐火建築物で吹き付けアスベストを除去するとき、事前に行政機関に届け出なければならなくなりました。

【1997年】
大気汚染防止法が1997年に改正され、吹き付けアスベストを使用している建物を解体する工事が「特定粉じん排出作業」に認定されました。
これにより、建物を解体するときは行政機関に事前に届け出をして、作業基準に沿った工事をしなければならなくなりました。

【2004年】
労働安全衛生法施行令が2004年に改正され、アスベストが1%超含まれる建材、摩擦材、接着剤など10品目の製造、輸入、使用が禁止されました。

【2005年】
石綿障害予防規則が2005年に改正され、アスベストが使われている建物を解体したり、改修したりするときは、「届け出」「特別教育」「石綿作業主任者の配置」が必要になりました。

【2006年】
労働安全衛生施行令や建築基準法などが2006年に改正され、アスベストを0.1%超含む製品の製造、輸入、使用が禁止されました。
また、2006年以前に建築された建築物においても、増改築等を行う場合は除去等(一定規模以下の場合は封じ込め又は囲い込みを許容)が必要となりました。

【2012年】
アスベスト等の製造等の禁止が当分の間猶予されている製品について、非石綿製品への代替化が全て可能となったため、猶予措置を撤廃し、全面禁止となりました。

【2014年】
大気汚染防止法が改正され、「特定粉じん排出等作業実施届出書」の届出義務者が工事施工者から発注者に変更されました。

【2021年】
大気汚染防止法が2021年に改正され、「工事前」「工事中」「工事完了後」の全ての段階で規制が強化・追加されました。
事前調査結果報告の義務付け及び作業基準の徹底のための直接罰の創設など、対策が一層強化されました。
3回に分けて、以後毎年段階的に施行されています。

【2022年】
2021年の大気汚染防止法の改正により2022年からは、アスベスト事前調査結果の報告が義務化されました。
報告対象の工事内容は解体工事だけでなく、改修工事(リフォームやリノベーション等)も該当になりました。

【2023年】
2021年の大気汚染防止法の改正により2023年10月1日からは、アスベストの事前調査や分析を実施するための資格要件が設けられました。
建築物石綿含有建材調査者等の有資格者によるアスベストの事前調査・検体採取・分析が義務化されました。

最近の事業用不動産建物売買取引においても、アスベストの事前調査がますます重要視されています。
アスベストの有無を正確に把握し、必要に応じて適切な手続きを踏むことは、不動産の価値評価をより正確に行うことができます。
アスベストの事前調査についての相談・依頼は、売主・買主が信頼でき、専門的な講習を受けた、公的な資格を持つ専門家に依頼しましょう。
また、調査報告書は将来的な改修・解体工事を行うときに必要となるので、大切に保管ください。

アスベストに関する法令

【労働安全衛生法】
労働安全衛生施行令などが2006年に改正され、アスベストを0.1%超含む製品の製造、輸入、使用が禁止されました。
労働安全衛生法とは、1972年に制定され、「職場における労働者の安全と健康の確保」や「快適な職場環境の形成促進」を目的とする法律です。
建築物の解体作業において、労働者へのアスベストばく露防止対策が定められています。

【建築基準法】
2006年に建築基準法が改正され、吹付けアスベストとアスベスト含有吹付けロックウール(含有率が0.1%を超えるもの)が規制対象となりました。
新たに建築する建築物への使用が禁止になり、2006年以前に建築された建築物においても、増改築等を行う場合は除去等が必要となります。
建築基準法とは、 建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低限の基準を定めた法律です。 建築物を建築する際の最低基準として、「単体規定」と「集団規定」が定められています。

【大気汚染防止法】
2021年の改正が以後3回に分けて段階的に施行されています。
「工事前」「工事中」「工事完了後」の全ての段階で規制が強化・追加。
事前調査結果報告の義務付け及び作業基準の徹底のための直接罰の創設など、対策が一層強化。
アスベスト事前調査結果の報告が義務化。(改修工事(リフォームやリノベーション等)も該当)
アスベストの事前調査や分析を実施するための資格要件の設置。
建築物石綿含有建材調査者等の有資格者によるアスベストの事前調査・検体採取・分析が義務化。など
大気汚染防止法とは、大気汚染を防止して、国民の健康と生活環境を守ることを目的としています。

【廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)】
1991年の改正により、特別管理産業廃棄物として「廃石綿等」が新たに制定されました。吹付けアスベスト、アスベスト含有保温材等のアスベスト含有廃棄物が該当。
2006年の改正により、アスベストの含有率が0.1%を超える廃棄物をアスベスト含有廃棄物と定義されました。非飛散性アスベストについても処理方法も基準化されました。
廃棄物処理法とは、廃棄物の処理・保管・運搬・処分などに関するルールを定めた法律 です。

【建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)】
対象建設工事において、分別解体等に係る施工方法に関する基準の一つとして特定建設資材に付着している吹付けアスベスト等の有無に関する調査を行うこと、付着物の除去の措置を講ずること等を規定しています。
2002年施工の法律。特定の建設資材の分別解体や再資源化、解体工事業者の登録制度等により、再生資源の有効利用や廃棄物の適正処理を図ることを目的としています。

この他、地方自治体が独自に条例を定めて規制をしている場合もあります。

アスベストを含む建物の解体工事の流れ

アスベストを含む建物の解体工事は、以下の流れで進みます。

【事前調査】
2022年4月1日から、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき当該工事におけるアスベスト含有建材の有無の事前調査結果を都道府県等に報告することが義務づけられました。
お問い合わせ先は、建設会社、設計事務所、調査会社、地方公共団体等。調査者等の専門家に依頼しましょう。
目視調査で完了しない場合には、サンプルを採取してアスベストの含有量についての分析となります。アスベスト含有率が0.1%を超えると規制対象となります。
補助金制度のある地方公共団体の場合は、業者と契約する前に相談が必要です。

【必要書類の提出】
事前調査の結果、アスベスト含有が確定すると、アスベストレベルに応じて書類の提出が必要となります。
(工事業者が代行してくれることがほとんどです。)
アスベストレベル1
特定粉じん排出等作業実施届
工事計画届
建築物解体等作業届
解体工事関連の届出
アスベストレベル2
特定粉じん排出等作業実施届
建築物解体等作業届
解体工事関連の届出
アスベストレベル3
解体工事関連の届出
2014年に改正された大気汚染防止法により「特定粉じん排出等作業実施届出書」の届出義務者が工事施工者から発注者に変更されています。

【近隣住民への告知】
解体工事をおこなう際は、解体工事に従事する労働者や解体工事現場周辺住民の不安解消の観点から、解体工事現場の見やすい場所に「石綿ばく露防止対策等の実施内容」を掲示する必要があります。
解体工事は騒音や振動などにより近隣に影響をあたえます。工事着工が近づいたら近隣にあいさつに行きましょう。
アスベストが含有されている場合は、その危険性や工事内容に理解してもらうことが大切です。

【アスベスト除去・建物の解体工事】
アスベストの除去は、しっかりと養生し、アスベストが飛び散らないように薬液や水を使いながら除去していきます。
アスベストを取り除いた後、本格的な建物解体工事となります。

アスベスト対策に関する補助制度について(例.横浜市)

アスベスト対策に関する補助金制度の有無は地方公共団体(市区町村)によって、支給対象や支給額が異なります。
具体的な補助金額や申請条件については、対象建築物のある地方公共団体に確認・相談する必要があります。

次に一つの例ですが、手厚い補助内容になっている、横浜市のアスベスト対策事業をピックアップします。

横浜市民間建築物吹付けアスベスト対策事業
多数の方が利用する民間建築物(店舗、事務所、工場、倉庫、駐車場等)に施工されている吹付けアスベストについて、無料の含有調査や、除去等工事に要する費用の補助を行う事業。

【対象となる建築物】
店舗、事務所、駐車場、工場、倉庫など
共同住宅の場合は共用部分のみ(機械室なども対象に含む)

【吹付けアスベスト含有調査】
横浜市が委託している専門業者が訪問し、吹付け建材にアスベストが含まれているかどうかを無料で調査します。

【吹付けアスベスト除去等】(工事に要する費用の補助)
「吹付けアスベスト」または「アスベスト含有吹付けロックウール」について、除去などの対策工事を行う場合に、 費用の2/3(上限300万円)を補助します。(消費税は補助対象外)

【お問い合わせ先】
横浜市建築局企画部建築防災課 耐震・防災担当

まとめ

建築物等の解体・改修などの工事現場において、アスベストの事前調査がますます重要視されています。
アスベストは依然として多くの建物や施設に存在しており、その取り扱いには慎重さが求められます。
この記事により、アスベストの事前調査の重要性と義務化、工事の流れの煩雑化、地方公共団体(市区町村)による補助制度の可能性などご認識いただき、お役にたてれば幸いです。

立和コーポレーションでは、解体・リフォーム会社のご紹介も可能です。また、事業用不動産取引におけるアスベストの事前相談についてのご相談も承っております。
お気軽にお問い合わせください。

監修 株式会社立和コーポレーション
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