不動産投資を考える(5)市場調査と相場把握の基本
2025/05/05
不動産投資において、「なんとなく良さそう」で物件を選ぶのは非常に危険です。
市場の動向やエリアの相場を把握していなければ、相場より高く買ってしまったり、想定より低い家賃収入しか得られないといったリスクがあります。
今回の記事では、投資判断を支えるための市場調査と家賃・物件価格の相場把握の基本を、客観的な視点から解説します。
市場調査の目的と重要性
適正価格で購入するために
周辺相場を知らずに物件価格を鵜呑みにすると「割高な買い物」になりやすい。
類似物件との比較は、不動産会社任せではなく自分でも行うべき。
将来の家賃収入を現実的に見積もる
想定家賃が相場とかけ離れていると、空室が長期化したり、家賃を下げざるを得ない事態に。
市場賃料をもとに収支計画を立てることが重要。
投資判断の軸を持つ
自分なりの調査データをもとに意思決定すれば、他人の意見に左右されにくくなる。
どんな情報を調べるべきか?
家賃相場(賃貸マーケット)
調べるポイント
同じエリア・築年数・間取り・設備の類似物件の家賃
駅からの距離、階数、方位などによる違い
調査方法
SUUMO、ホームズ、アットホームなどのポータルサイト
地元の管理会社が出している賃貸レポート
成約事例が見られる「レインズマーケットインフォメーション」など
物件価格相場(売買マーケット)
調べるポイント
平米単価や土地価格の推移
過去に売買された実績との比較(成約価格ベース)
調査方法
レインズ(不動産流通標準情報)※取引する不動産会社へ依頼
国土交通省の不動産取引価格情報(実際の成約価格)
ポータルサイトに掲載されている類似物件の価格
利回りの目安
表面利回り=年間家賃 ÷ 購入価格
実質利回り=(家賃収入 − 経費)÷ 購入価格
エリアによる利回りの目安を知っておくことで、想定外の低収益を避けやすくなる
数字だけでなく「需給バランス」も確認する
空室率の高さはリスク
地方都市や供給過多のエリアでは空室率が高く、家賃設定が難航することも。
自治体や不動産会社の統計資料、賃貸住宅新聞なども参考に。
将来の供給計画も視野に
新築マンション・アパートの建設予定が多いと、競合が増え、家賃の下落圧力になる可能性がある。
建築確認申請情報や開発計画を自治体サイトで確認可能な場合も。
取引する不動産会社や管理会社から得られる情報
成約家賃や入居者の傾向は、ネットより現場に詳しい管理会社の方が把握していることが多い。
客付けしやすい間取りや設備、水回りリフォームの効果など、実務的な感覚をヒアリングできる。
※ ただし特定の物件を売るためのポジショントークでないかは、慎重に見極めること。
調査データをどう活用するか
収支計画に反映
想定家賃・管理費・空室率・修繕費などをすべて市場実勢に基づいて計算。
複数シナリオ(ベース・楽観・悲観)を準備しておく。
融資交渉や購入価格交渉の根拠に
「相場と比べて割高」であることを根拠に、価格交渉ができる材料になる。
銀行への事業計画提示時にも信頼性が増す。
まとめ
不動産投資では、物件自体の良し悪しだけでなく、「その価格や家賃が適正か」を見極める力が求められます。
相場や利回り、需給バランスなどを調査し、数字の裏付けをもって判断することで、リスクを抑えた投資が実現しやすくなります。
現地の管理会社や統計データなど、複数の情報源を活用しながら、冷静に相場を読み解いていきましょう。
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(3)8600号
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