容積率(ようせきりつ)とは?やさしい言葉で不動産用語を解説
2025/05/06
「やさしい言葉で不動産用語を解説 」シリーズ。
今回は、建物づくりや土地探しに欠かせない重要なルールのひとつ、「容積率(ようせきりつ)」について、できるだけ簡単な言葉で解説していきます。
専門用語を易しい日本語で理解することは、不動産の知識がない方や、日本語を母国語としない方にとっても大切です。
わかりやすい表現は、他の言語に翻訳される際にも意味が通りやすく、誤解を防ぐことにつながります。
それでは、「容積率」とは一体何なのか、見ていきましょう!
「容積率」ってなに?
「容積率」とは、あなたが持っている土地(敷地)の面積に対して、建てられる建物の「すべての階の床面積の合計(延べ面積)」の割合のことです。
これも建蔽率と同じく、パーセンテージ(%)で示されます。
簡単に言うと、建蔽率が建物の「広さ」(平面的な大きさ)の制限だったのに対し、容積率は建物の「全体のボリューム」(立体的な大きさ、各階の床面積の合計)の制限、と考えるとわかりやすいかもしれません。
建蔽率とのちがい
建蔽率(けんぺいりつ): 土地に対して、建物を真上から見た面積(建築面積)がどれだけ占めるかの割合。→ 建物の水平方向の広さの制限
容積率(ようせきりつ): 土地に対して、建物の全フロアの床面積の合計(延べ面積)がどれだけになるかの割合。→ 建物の総床面積(ボリューム)の制限
この二つのルールがあることで、建物の平面的な広さと、全体の大きさ(階数なども含む)の両方がコントロールされています。
なぜ容積率のルールがあるの?
建物の全体の大きさを制限する容積率には、どのような目的があるのでしょうか?
人口や交通量のコントロール
もし容積率の制限がなければ、狭い土地に非常に高い建物が建ち、その地域に住む人や働く人が過剰に増えてしまう可能性があります。
そうなると、道路の渋滞、電車の混雑、上下水道や電気などのインフラへの過負荷などが起こりやすくなります。
容積率は、地域のインフラが対応できる範囲内に人口や活動量を抑える役割があります。
日照・通風・採光の確保
高すぎる建物が密集すると、周りの建物の日当たりや風通しが悪くなります。
容積率によって建物の全体のボリュームを制限することで、良好な住環境や労働環境を維持します。
地域の特性を守る
低い建物が中心の住宅地に、突然巨大なビルが建つのを防ぐなど、その地域にふさわしい街並みや環境を守るためにも容積率は役立っています。
建蔽率が主に防災や平面的な環境確保を目的としているのに対し、容積率は主にインフラへの影響や、立体的な環境(高さや日照など)を考慮したルールと言えます。
具体例で見てみよう!容積率の計算
容積率を使って、建てられる建物の延べ面積の上限を計算してみましょう。
例1:容積率200%の場合
あなたが持っている土地(敷地面積)が 100平方メートル(㎡) だとします。
その土地に適用される容積率が 200% だとします。
この場合、建てられる建物の延べ面積の上限は、
100㎡×200%=100㎡×2.0=200㎡
となり、最大200㎡までの延べ面積を持つ建物を建てることができます。
例えば、各階50㎡の建物なら4階建てまで、各階60㎡なら3階建て(合計180㎡)などが考えられます(ただし、建蔽率や他の高さ制限などもクリアする必要があります)。
例2:容積率80%の場合
あなたが持っている土地(敷地面積)が 150平方メートル(㎡) だとします。
その土地に適用される容積率が 80% だとします。
この場合、建てられる建物の延べ面積の上限は、
150㎡×80%=150㎡×0.8=120㎡
となり、最大120㎡までの延べ面積を持つ建物を建てることができます。例えば、1階60㎡、2階60㎡の合計120㎡の2階建てなどが考えられます。
建蔽率と容積率、両方を守る必要あり!
家を建てる際には、建蔽率と容積率の両方の制限を守る必要があります。
どちらか一方だけを満たしていても、もう一方の制限を超えてしまうと、その計画で家を建てることはできません。
土地に対して、どれくらいの広さ(建蔽率)で、どれくらいのボリューム(容積率)の建物を建てられるか、両方の観点から確認することが重要です。
まとめ
今回は、不動産用語の「容積率」について解説しました。
容積率とは:土地の広さ(敷地面積)に対して、建てられる建物のすべての階の床面積の合計(延べ面積)の割合の上限のこと。
なぜ必要か:人口や交通量のコントロール、インフラへの負荷軽減、日照・通風などの環境確保、地域の特性維持のため。
計算方法:敷地面積 × 容積率(%) = 延べ面積の上限
注意点:建蔽率と容積率の両方の制限を満たす必要がある。
容積率は、建物の階数や全体の大きさを決める上で非常に重要な要素です。
特に、限られた土地を有効活用したい場合や、複数のフロアを持つ家を計画する際には、必ず確認が必要です。
建蔽率と容積率、この二つのルールを理解しておけば、土地探しや建築プランの検討がよりスムーズに進むはずです。
ぜひ覚えておいてくださいね!
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(3)8600号
◆この記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、立和コーポレーションの見解を示すものではありません。
◆この記事に掲載の情報の正確性・完全性については、執筆者および立和コーポレーションが保証するものではありません。
◆この記事に掲載の情報は、執筆時点のもので、最新の情報ではない可能性があります。
◆この記事に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、執筆者および立和コーポレーションは一切責任を負いません。
あらかじめご了承ください。