東北自動車道のIC周辺に注目!首都圏で貸工場・貸倉庫を探すための実務ガイド
2025/05/07
工場や倉庫の立地を考える際、「高速道路IC周辺」は多くの企業にとって外せない条件のひとつです。
中でも東北自動車道は、首都圏から北関東・東北地方を結ぶ大動脈。
浦和ICや岩槻IC、久喜・加須ICといった周辺エリアは、優れた広域アクセスとバランスの取れた地価で注目されています。
本記事では、主要IC周辺の工場・倉庫エリアの特徴や市場環境を実務目線で解説し、物件選びの判断材料を提供します。
目次
首都圏における東北自動車道の役割とは?
東北自動車道(以下、東北道)は、東京都から東北地方を縦断する基幹的な高速道路であり、首都圏と北関東・東北地域を結ぶ重要な物流ルートです。
その起点は「川口JCT(埼玉県)」であり、東北6県へと延びる延長約679kmの大動脈となっています。
東北道の基本的な位置づけ
首都高速道路・外環道・圏央道と接続
首都圏の各方面とのアクセス性が高く、物流の起点・中継地としての機能を果たします。
川口JCT~久喜IC区間は特に交通集中エリア
首都圏内の製造・流通企業が集積しやすく、貸工場・貸倉庫の需要が高い区間です。
東北地方への基幹輸送ルート
災害時の代替輸送ルートや、食品・素材等の長距離輸送ルートとしても利用され、BCP(事業継続計画)上の観点からも重視されています。
東北道沿線が工場・倉庫立地に向いている理由
渋滞回避ルートとしての安定性
東京や神奈川方面の混雑を避けて、比較的スムーズな運行が可能なため、安定した配送拠点として有利です。
土地コストと面積のバランスが良い
埼玉県北部や栃木県南部では、比較的広めの敷地とリーズナブルな賃料を確保しやすく、工場や物流施設の展開に適しています。
中小企業から大規模倉庫まで多様なニーズに対応
インターチェンジごとの特性を活かし、軽作業系の工場からフルフィルメント型物流倉庫まで、多様な業種が立地しています。
主要ICとアクセス概要 ― 地理的特徴と接続性
東北自動車道の首都圏エリアでは、複数のインターチェンジ(IC)が工場・倉庫立地として注目を集めています。ICの位置や接続道路によって、対応できる物流圏や商圏が異なるため、それぞれの特徴を把握することは、賃貸や運用における重要な判断材料となります。
ここでは、特に貸工場・貸倉庫ニーズが高い主要ICについて、地理的特性とアクセス面の強みを解説します。
浦和IC(埼玉県さいたま市)
首都高速・外環道と接続
都心部・神奈川方面・千葉方面への分岐点として機能。
都市型物流や軽作業向け工場に最適
市街地に近いため、人材確保や商業流通との親和性が高いエリアです。
岩槻IC(埼玉県さいたま市岩槻区)
国道16号との接続で広域アクセスに強み
東西方向の物流動線と連携しやすく、川越・春日部・越谷方面とのネットワーク構築が可能。
倉庫・工場のバランスが取れた立地
工業地域が広がり、中小製造業や運送業の拠点に向いています。
久喜IC(埼玉県久喜市)
東北道と圏央道のクロスポイントに近接
首都圏・関東一円・東北方面すべてを射程圏に収める物流立地。
大型配送センターの集積が進む
平坦で広い土地が供給されており、大規模施設の開発がしやすいエリアです。
加須IC(埼玉県加須市)
久喜ICと連動する広域物流エリア
比較的地価が安く、コストを抑えた拠点整備が可能。
工業団地と農産物の集配拠点が混在
製造業だけでなく、食品加工や農業関連物流との相性も良好です。
【補足】IC周辺エリアの交通利便性を左右するポイント
■圏央道・外環道などの環状ネットワークとの接続
■ICから最寄り主要幹線道路への距離
■地域内の道路整備状況(大型車通行の可否など)
これらは、工場・倉庫の稼働効率に大きな影響を与えるため、ICだけでなく周辺の道路インフラも含めた評価が必要です。
浦和IC周辺の貸工場・貸倉庫の特徴
東北自動車道の起点に近い「浦和IC」(埼玉県さいたま市緑区)は、都心への至近距離と交通の結節点という強みを併せ持ち、物流・製造の両面で根強い人気を誇るエリアです。
都心との物理的・心理的距離の近さから、「都市型物流拠点」や「軽作業中心の工場」など、多様な業種にとってメリットが多く、競争力の高い立地です。
地理的利点:都心と郊外をつなぐ絶妙なバランス
首都高速・外環道との接続に優れ、三方向アクセスが可能
東京方面、千葉方面、埼玉北部方面のいずれにも出やすく、効率的な配送ルートを確保できます。
立地特性:市街地に近接しながらも産業ゾーンが存在
さいたま市東部・川口市方面には準工業・工業地域が点在
既存の事業集積に加え、新規開発地も一定数あり、多様な坪数・仕様の物件が見込まれます。
浦和IC周辺の貸工場・貸倉庫市場の傾向
賃料水準は比較的高めだが、流動性が高い
希少性の高い立地のため、空室は短期間で埋まりやすく、賃料の下落も限定的です。
多様なテナントニーズに応える物件が多い
1棟貸し・分割可の倉庫、2階建ての軽作業場付き工場など、用途別に選択肢が豊富です。
注意点:用途地域と近隣住民への配慮
特に夜間作業・大型車両の出入りが多い業態では、事前の地域調査と行政との調整が必要です。
岩槻IC周辺の貸工場・貸倉庫の特徴
岩槻IC(埼玉県さいたま市岩槻区)は、東北自動車道におけるさいたま市内の中核的ICとして、製造業・運輸業の双方にとってバランスの取れた立地とされています。
浦和ICよりやや外縁部に位置し、市街地との距離感が程よく、土地供給の余地もあることから、工場・倉庫の立地先として注目を集めています。
地理的ポジションと周辺インフラ
国道16号や国道122号などと接続
東西の幹線道路との交差点に近く、川越・春日部・越谷といったエリアとも連携が取りやすい立地。
東北道を起点とした広域配送拠点に最適
圏央道や外環道へも短距離でアクセスでき、首都圏全域と北関東の双方に効率的に対応可能。
用途地域と産業エリアの特徴
準工業地域・工業地域が広範に広がる
工場・物流施設に適した用途地域が多く、法規制の面でも対応しやすいエリア。
岩槻インター工業団地など既存の集積も強み
中小製造業の拠点や、食品加工・印刷・物流など多様な業種が既に立地しています。
市場動向と将来性
中型規模(300〜1000坪程度)の物件が安定需要
特にBtoB物流、建材・資材系の需要が目立つ
周辺の住宅地開発との共存も進む
工場・倉庫エリアと住宅エリアが明確に区分されており、事業継続性の面でも安心感がある
久喜IC・加須IC周辺の貸工場・貸倉庫の特徴
埼玉県北東部に位置する久喜ICおよび加須IC周辺は、東北自動車道における「物流広域連携のハブ」としての機能を強めつつあり、特に大規模工場・倉庫の立地先として注目が高まっているエリアです。
圏央道との接続性に優れ、首都圏から北関東・東北方面へスムーズな移動が可能なため、BCP(事業継続計画)対策としても重視されるエリアとなっています。
久喜IC周辺の特徴:圏央道クロスポイントとしての優位性
圏央道とのジャンクションに近接
関越道・東関東道・常磐道方面へも横断的なアクセスが可能で、広域物流ネットワークの中核的立地。
首都圏外縁部として土地供給が豊富
平坦で造成しやすい土地が多く、大型倉庫やフルフィルメントセンターの建設に適しています。
埼玉県久喜市は産業誘致にも積極的
工業団地の整備や企業立地補助制度など、行政支援の厚さも進出企業にとって魅力です。
加須IC周辺の特徴:コスト競争力と広さを活かした物件展開
地価・賃料ともに割安感あり
都心から一定距離がある分、坪単価あたりのコストパフォーマンスに優れたエリア。
中型〜大型の土地付き物件が見つかりやすい
一棟貸し、平屋倉庫、トラックヤード付き工場なども供給されている。
物流・食品・建材業界の需要に対応
産業道路や農業エリアに隣接しており、季節変動のある商材や資材保管拠点にも最適。
両IC周辺に共通するメリット
BCP対策としての立地優位性
都心部にトラブルがあっても、東北・北関東への代替輸送が即時可能。
労働力確保も比較的良好
久喜市・加須市ともに人口が安定しており、工業系人材の雇用環境も一定の水準を維持。
まとめ
東北自動車道沿いのIC周辺は、立地・コスト・供給の3点でバランスが取れた工場・倉庫立地として、今後も高い需要が見込まれます。
各ICごとに異なる特性を把握し、自社の業種・事業展開に適した場所を選定することが成功への第一歩です。
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(3)8600号
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