「売りたい方へ」事業用不動産建物を売却する際のチェック項目
2020/07/03
少し前に、「事業用地を売却する際は、物件の事前確認が大切です。」と題した記事を書きました。
「売りたい方」ご自身が事前に売却物件についての情報を再確認すること!それを仲介依頼する不動産会社と共有することがより安全な不動産売買取引へつながります!!
そんな思いから、事業用地の売却時にチェックしてもらいたい内容となっています。
今回の記事では建物編、「事業用不動産建物を売却する際のチェック項目」をすこしまとめて書きたいと思います。
以前の土地編と重複している部分もありますが、契約の流れなども追記して要所でのチェック項目などもいれて記事にしています。
事業用不動産を「売りたい方」へ、少しでも予備知識としてお役にたてる記事になれば幸いです。
この記事を監修する「立和コーポレーション」は、首都圏の事業用物件を専門に取り扱う不動産会社です。
事業用不動産のご売却をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
目次
事業用不動産を売却する理由・目的は?
「立和コーポレーション」では、事業計画策定のためや経済環境や産業構造の変化、後継者不在など様々な要因により、事業用不動産の売却のご相談をいただいております。
ご相談の大半は、拡大・縮小移転などが主な目的ですが、中には資金調達や保有コストの削減など財務的な側面からや、廃業を検討されている場合もあります。
事業用不動産の売却では、目的に合わせた実現可能性調査が重要になってきます。
物件にもよりますが、売却後の移転先がすぐに見つかるか、希望額以上で売れるか、希望時期までに取引が完了できるか、などは事前の調査により判断が可能なものもあります。
物件を把握するための書類の確認がたいせつです。
事業用不動産の売却の際は、買主へ正確で詳細な情報を伝えることにより、トラブルを回避し安全な取引へ繋げます。
事業用不動産の売却の相談や査定依頼の際には、つぎの書類があるか確認してください。
書類の有無により、査定額や売却に要する費用、期間などに大きく影響することがあります。
■ 登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証や登記識別情報は、本人確認のためや所有権移転登記の際に必要となります。
紛失した場合、再発行はされませんが、司法書士が本人確認情報を作成し、登記情報の変更を行うのが一般的です。
■ 購入時の売買契約書、重要事項説明書など
記憶だけに頼らず、購入時の書類から正確な情報を得られます。
■ 地積測量図、境界確認書類
不動産の売買では、売主は買主に対して、境界標を指示し境界を明示することが一般的です。
境界標や境界確認書類(筆界確認書など)がない場合は、契約前に準備しておくことをおすすめします。
また、隣地との境界にまたがるフェンスや塀の所有についてや、越境の有無なども併せて確認することがたいせつです。
■ 評価証明書や納税通知書
所有権移転登記の手続きに必要となります。
固定資産税・都市計画税の精算に使用します。
■ 建築確認済証、検査済証
確認済証は、建築確認申請の内容が建築基準関連規定に適合していることを証明する書類で、交付を受けなければ、工事に着手出来ません。
検査済証は、建築物及びその敷地が建築基準関連規定に適合していることを証明する書類で、完了検査を受けたのち交付されます。
取得していても、のちの増改築により証明内容と一致していない場合もあります。
また、近年では企業の法令遵守、金融機関から融資受ける際の審査への影響などから特に重要なものとなっています。
■ 建物図面、設計図書
買主にとって有益な検討材料となり、購入後も建物の維持管理やリフォームに役立ちます。
つぎの書類は、すべての物件において必須の書類となるものではありませんが、売却に際し調査義務が発生する物件や、売主として調査すべき物件もあります。
有害物質使用特定施設であった場合は、廃止する際に土壌汚染調査が義務付けられています。
また、建築年月日、目視などからアスベストの使用が疑われるものは、調査をおすすめします。
■ 各設備の検査・点検書類
エレベーター、消防設備、キュービクル、受水槽などの「検査・点検」が義務化されている設備の検査・点検記録で、適切な管理のもとに使用されていたかが確認できます。
昭和52年(1977年)3月以前に建てられた物件は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)使用製品が設置されている可能性があります。
キュービクルの変圧器やコンデンサー、照明設備の安定期などが該当し、PCB使用製品であった場合は処分が義務付けられています。
高濃度PCB廃棄物の変圧器・コンデンサーなどが2022年3月31日
高濃度PCB廃棄物の安定期・汚染物などが2023年3月31日
低濃度PCB廃棄物は2027年3月31日
までとなっています。
事業用不動産の売却の流れ
ここでは、事業用不動産の売却のご相談・査定依頼から契約・引渡しまでの簡単な流れと要点を書いていきます。
不動産会社への相談
事業用不動産を売却する理由・目的を整理し、不動産会社へ相談します。
事業用不動産の売却は住宅などとは違い、法令面や安全な取引のための注意点など特殊な面が多くあります。
独自で事前調査に時間を掛けるよりも、専門業者へ問い合わせることをおすすめします。
立和コーポレーションでは、検討段階からのご相談も承っております。
物件の調査・査定
物件調査の項目は、権利や法令関係、市場環境など以外にも、建物の使用遍歴や、増改築・修繕記録、設備の検査・点検状況、現状の不具合、過去の風水害など多々あります。
「売りたい方」ご自身でも物件の詳細を再確認し、不動産会社と共に調査を行い情報共有することで、より精度の高い査定となります。
不動産会社の提示する査定額は、一般的にその時点での相場、売却できる可能性が高い数字となります。
実際に売り出す価格は、不動産会社と相談のうえ設定します。
立和コーポレーションでは、事業用不動産の売買に精通した「不動産コンサルティングマスター」が無料にて査定を行います。
査定方法には大きく分けて「簡易査定」と「詳細査定」があります。
現地確認を行わず、概算査定となります。
各種データや机上で確認できる法令制限などをもとに算出します。
あくまでも概算になりますので、まだ事業方針の検討段階の方におすすめの査定方法です。
詳細査定
現地確認やお打ち合わせを行い、精度の高い査定方法になります。
詳細な物件調査や資料などをもとに算出します。
売却に向けて広告などの営業活動を行う際にはこの詳細査定を行ないます。
媒介契約の締結
不動産会社に依頼する業務内容を確認し媒介契約を結びます。
媒介契約には、以下の3種類があります。
1社のみに依頼する契約です。
依頼した不動産会社以外に重ねて依頼することはできません。
自ら発見した相手方との取引も含め、依頼した不動産会社を通さず売買契約を行うことはできません。
専任媒介契約
1社のみに依頼する契約です。
依頼した不動産会社以外に重ねて依頼することはできません。
専属専任媒介契約との違いは、自ら発見した相手方と依頼した不動産会社を通さずに売買契約が可能になるところです。
一般媒介契約
複数の不動産会社に重ねて依頼することができます。
自ら発見した相手方と依頼した不動産会社を通さずに売買契約が可能です。
どの媒介契約を選ぶかによって、依頼を受けた不動産会社の営業活動や広告活動、その他付随する業務に関しても違いが出ます。
媒介契約締結前に不動産会社と打合せの上、確認してください。
売却活動を始める
不動産会社の営業活動は、
◆国土交通大臣指定流通機構「レインズ」への登録
◆自社ホームページや不動産ポータルサイトなどへの広告掲載
◆現地看板
◆チラシのポスティング
などの方法があります。
立和コーポレーションでは、「売りたい方」のご要望(取引先、同業他社に知られたくないなど。)に合わせ、その営業活動内容を決定していきます。例えば…
◆国土交通大臣指定流通機構「レインズ」への登録 ※専属専任媒介・専任媒介の場合は宅地建物取引業法上必須になります。
◆各検索キーワード順位が上位!アクセス数が多い!多機能な!自社独自開発の自社ホームページへの無料掲載
◆不動産ポータルサイトへの無料掲載
◆現地看板はもちろん物件周辺へのポスティングや営業活動
などを行なっています。
…立和コーポレーションの自社ホームページのみの広告活動も可能です。
不動産売買契約を締結する!
購入希望者から書面(買付け証明書、購入申込書など)にて購入の意思表示をいただき、契約条件を調整し合意のうえ不動産売買契約を締結します。
不動産売買契約書の内容を確認する際の注意点をすこしまとめました。
不動産売買契約書のチェックポイント
物件の表示
一般的に登記簿の内容が記載されます。
誤りがないか確認します。
売買代金、手付金などの額と支払日
金額とその支払日を確認します。
手付金が解約手付の場合は、手付解除の期限も確認します。
所有権の移転と引き渡しの時期
移転、設備の移設、動産類の撤去、買主の希望日などの日程を考慮し、時期を設定します。
負担の消除
買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を消除しなければなりません。
担保権や賃借権などの権利を除けるか確認します。
取引として多いのは「抵当権」「根抵当権」です。
物件状況、付帯設備
不具合の有無や設備の使用可否、点検・検査記録、増築・修繕記録などを確認します。
物件状況確認書(告知書)や付帯設備表にて買主に対して説明します。
契約違反による解除
契約違反により契約を解除する場合について確認します。
一般的に違約金が設定されています。
融資利用の場合の特約
買主の融資が未承認の場合、契約が解除されるのが一般的です。
融資未承認の場合の契約解除期限を確認します。
契約不適合責任
令和2年4月1日の民法改正にともない、不動産売買契約への大きな変更部分です。
売主は、売却した不動産が契約内容に適合しない場合、瑕疵が「隠れている」「隠れていない」に関係なく法的責任を負います。
ただし、一般売主(不動産業者売主以外)の場合、この契約不適合責任は任意規定です。
契約書の内容にて責任を制限することが可能です。
以前の記事で、簡単にですが、「民法改正に伴う不動産売買契約への影響」を書いています。
よろしければこちらもご覧ください。
買主に対し、物件状況確認書(告知書)や付帯設備表にて売主にしか知りえない物件の状況を詳しくお知らせすることが重要となります。
特約事項
特約やその他の事項により詳細が補足される場合が多く、特に事業用不動産の売買契約では重要な内容が記載されることがあります。
例えば、法令関係、土壌汚染やアスベストについて、組合や自治会の加入義務やその負担、越境、周辺環境などについてです。
残代金の受取、物件の引渡し
物件の引渡しまでに、契約内容と相違がないかを物件現地にて買主に確認していただきます。
買主から残代金の支払いを受けると同時に、所有権移転登記の申請を司法書士に依頼します。
固定資産税・都市計画税などの精算も行います。一般的に引渡し日の前日までが売主負担、引渡し日以降を買主負担とします。
買主に物件の鍵や建物図面、設備関係の資料などを引き渡して完了です。
立和コーポレーションでは、4つの売却方法を提案
通常仲介
最も一般的な売却方法です。売主様と買主様の間で立和コーポレーションが媒介し、売買取引を行ないます。
<<選択ケース>>
現金化に急いでいない。
相場より安く売りたくない。
<<比較>>
価格=◎
一般需給相場となります。
売却スピード=△
状況により大きく変動する場合があり事業計画が立てにくい。
業者買取(複数同時査定)
提携している事業用不動産の買取業者のなかから、地域・規模など買取条件がマッチする業者を複数社ご紹介します。
決済・引渡しまで立和コーポレーションが媒介し、売買取引の取りまとめを行ないます。
<<選択ケース>>
現金化を急いでいる。
価格が相場より少し安くなっても、確実な資金計画をたてたい。
<<比較>>
価格=△
一般需給相場より安くなるケースが多い。
売却スピード=◎
買取価格が決まると素早く売却ができる。
買取保証
期限を決めて、その期日までに通常仲介にて売却できなかった場合に、あらかじめ取り決めた買取価格で買取業者へ売却する方法です。
通常仲介と業者買取の良い所取りです。
<<選択ケース>>
一定期間での現金化が必要(相続)
最低売却価格を把握したい。
<<比較>>
価格=〇
売却期日までの期間が長いほど一般需給相場での売却の可能性が高まります。
売却スピード=〇
売却期日までに売却できない不安を解消できる。
リースバック買取
買取業者へ売却し資金を得た後、その買取業者と同じ物件にて賃貸借契約を結び賃料を支払うことで、これまでと同じ物件で事業を継続することができる方法です。
<<選択ケース>>
現金化を急いでいる。
従業員の通いや設備移設に膨大な費用がかかるなど引っ越しが困難。
<<比較>>
価格=△
一般需給相場より安くなるケースが多い。
但し、賃貸条件とのバランスを考慮する必要があります。
売却スピード=◎
買取価格・賃貸条件が決まると素早く売却ができる。
オークション方式・入札方式で売却する
「通常仲介」「業者買取」「買取保証」「リースバック買取」にオークション方式・入札方式を利用し「計画的に」「できるだけ高く」「明確(オープン)に」売却する方法をフレキシブルに提案します。
立和コーポレーションにて行う査定価格を最低売却価格として出品し、出品期間中に最高金額で入札した方と取引を行ないます。
最大のメリットは、「最高額で売却できる!」ところです。
事業用不動産は物件特有の条件が強いため、物件に対する価値観が人それぞれ大きく異なるケースが多く、オークションに適しています。
先着順ではなく、出品期間中に最大の評価をいただいた方とのお取引なので納得できます。
【対象物件】
・事業用不動産物件であること。
・(株)立和コーポレーションと3ヵ月間の専属専任媒介を締結いただけること。(※入札に参加される方に売買条件を公正に事前告知するため)
【出品事例】
・相続税の申告期限や相続税の取得費加算期限など、期限を定めて売却をする必要がある為。(期限があるため計画的)
・査定価格での通常仲介よる募集の前に、2週間の期限でオークション方式・入札方式にて出品。(買い上がりでの売却期待)
・現金化に急いでいて、「業者買取」「買取保証」と並行して、2週間の期限でオークション方式・入札方式にて出品。(期限があるため計画的)
※優先交渉権者の選定には、入札金額の他、入札者の信用状況等の内容を総合的に審査します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
令和2年4月1日からの改正民法は、不動産売買契約においても影響が大きいです。
特に売主責任が大きくなりました!
一般売主(不動産業者売主以外)においても、「契約不適合責任」が任意規定とはいえ、消費者保護の観点からも、買主のリスクをできるだけ「容認事項」としてリストアップし、安全取引とすることが非常にたいせつになります。
事業用不動産の売却をご検討の際は、「立和コーポレーション」へお気軽にお問い合わせください。
宅地建物取引業 国土交通大臣免許(2)8600号
◆この記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、立和コーポレーションの見解を示すものではありません。
◆この記事に掲載の情報の正確性・完全性については、執筆者および立和コーポレーションが保証するものではありません。
◆この記事に掲載の情報は、執筆時点のもので、最新の情報ではない可能性があります。
◆この記事に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、執筆者および立和コーポレーションは一切責任を負いません。
あらかじめご了承ください。