【令和2年4月1日】民法改正に伴う事業用不動産賃貸借契約における連帯保証人への影響 | 事業用不動産物件専門の立和コーポレーション

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【令和2年4月1日】民法改正に伴う事業用不動産賃貸借契約における連帯保証人への影響

2020/06/24

監修の立和コーポレーションは、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の事業用不動産を専門に取り扱う不動産会社です。

主な物件種目は、
工場 倉庫 店舗 事務所  ビル 事業用地 などです。
各物件種目ごとにそれぞれの特徴があり、違いがあります。

そのため1件、1件、安全な取引となるように物件調査や関連法令の確認を行っています。

すでにご存じの方も多いかと思いますが、西暦2017(平成29)年6月に民法の改正法が成立され、西暦2020(令和2)年4月1日から施行となりました。
債権関係の規定(契約等)について 約120年間ほぼ改正がなく、大きく変化した社会・経済への対応と、分かりやすい民法との観点から改正されています。

今回の記事では、この民法改正で不動産賃貸借契約において、特に影響が大きかった「連帯保証人」に関連した変更点を4項目に分けてお知らせします。
また、以前の記事で、今回の民法改正に伴う事業用不動産売買への影響も記事にしています。
ぜひこちらもご覧ください。

法務省にて発行している資料や、立和コーポレーションが所属する宅地建物取引業協会の配布資料や顧問弁護士へ確認した内容をもとに記事としました。
ご参考にしていただければ幸いです。
事業用不動産

個人の連帯保証人の場合、保証額の極度額の設定が義務化!

今回の民法改正で、不動産賃貸借契約における連帯保証人に関することで、一番大きな変更点だと思います。
個人が連帯保証人の場合、保証額の極度額を設けることが義務付けられました。
保証額の極度額の定めのない個人の保証契約は無効となります。
法人の連帯保証人や保証会社利用の場合はこの極度額を設定する必要はありません。

もう少し具体的に説明していきます。
まず、保証額の極度額とは個人の連帯保証人が負担する債務の上限です。
例えば、借主に長期に渡る賃料の滞納などがあり、設定した極度額を超えた債務が発生しても、個人の連帯保証人は、極度額の範囲で責任を負うことになります。

では、民法改正前と後ではどう変わったのでしょうか。

≪旧民法からの変更点≫

民法改正前
不動産賃貸借契約において、個人・法人問わず連帯保証人が、保証額の極度額を設定することはありませんでした。
変更
民法改正後
個人が連帯保証人の場合、保証額の極度額を明瞭に「○○○円」と具体的な金額を定め、書面(不動産賃貸借契約書)に記載することとなりました。
書面(不動産賃貸借契約書)に極度額の記載のない個人の保証契約は無効となります。
民法改正前
連帯保証人の責任は過度に重く、借主の債務を金額に上限なく保証しなければなりませんでした。
不動産賃貸借契約時において、将来どのくらいの債務を保証することになるのか不明な状態です。
変更
民法改正後
保証額の極度額が設定されることにより、貸主は設定された極度額を超えた損害が発生しても、個人の連帯保証人に対し、この極度額の上限までしか請求できません。
個人の連帯保証人が負う可能性のある負担額の上限が明確になりました。

借主から個人の第三者(当該事業の経営等を行っている者以外)の連帯保証人への情報提供が義務化!

事業用不動産賃貸借契約の際、借主は個人の連帯保証人に対し情報提供が義務付けられました。
居住用不動産賃貸借契約には該当しません。
連帯保証人が法人の場合は該当しません。

借主から連帯保証人を依頼された個人の方は、連帯保証人になるかどうかを判断するための情報を得られることとなりました。

具体的にどのような情報を提供する義務があるのか説明していきます。
事業用不動産賃貸借契約の借主から、個人の連帯保証人へ提供する情報は下記の3つで、契約締結時に説明しなければなりません。

1.財産及び収支の状況。
2.主たる債務(家賃支払い義務)以外に負担している債務の有無ならびにその額及び履行状況。
3.主たる債務の担保として他に提供し、または提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容。

次に、この情報提供義務が果たされなかった場合はどうなるのでしょうか。

上記の3つの内容について、借主が個人の連帯保証人へ、説明をしていない、または事実と異なる説明をしたために、個人の連帯保証人が誤認をし、それによって保証契約の申込み、または承諾の意思表示をした場合において、貸主が、個人の連帯保証人が説明を受けてないまたは誤認していることを知り、または知ることができたときは、個人の連帯保証人は、保証契約を取り消すことができます。

ちょっと分かりづらいので捕捉します。
まず、個人の連帯保証人へ情報提供義務があるのは借主ですが、保証契約を結ぶのは貸主となります。
そのため、借主が情報提供義務を果たしていないことを、貸主が知っていたまたは知ることができたとき、個人の連帯保証人は保証契約を取り消すことが可能で、貸主が知らなかったときは、個人の連帯保証人は保証契約を取り消すことができません。

では、民法改正前と後ではどう変わったのでしょうか。

≪旧民法からの変更点≫

民法改正前
物件が事業用か居住用か、連帯保証人が個人か法人に関わらず、借主から連帯保証人への情報提供義務はありませんでした。
変更
民法改正後
事業用不動産賃貸借契約の借主は個人の連帯保証人に対し、情報提供が義務となったため、個人の 連帯保証人は借主の財務状況等を把握したうえで、依頼を受けるか否か判断することが可能となりました。
事業用不動産の賃借を検討されている方で、連帯保証人を個人の方へ依頼する場合は、事前に情報提供の準備をし、気に入った物件が見つかったら、すぐに申込み・契約ができるようにしておくことをおすすめします。

貸主から連帯保証人への情報提供が義務化!

貸主は連帯保証人に対し、依頼に応じて遅滞なく借主の債務の履行状況についての情報提供を行うことが義務付けられました。
「事業用賃貸物件の借主から個人の連帯保証人への情報提供義務」とは違い、その賃貸物件が事業用か居住用か、連帯保証人が法人か個人かは問いません。
それでは連帯保証人は、貸主に対してどのような情報提供を求めることが出来るようになったのでしょうか。

不動産賃貸借契約における具体例
1.主たる債務の元本および利息について
2.違約金について
3.損害賠償について
4.債務の不履行の有無と滞納額ついて
以上のような借主の債務の履行状況について、貸主は遅滞なく提供する義務があります。

また、情報提供を行うことが個人情報保護法や契約上の守秘義務に反していないか、気になるところですが、民法改正により、貸主から連帯保証人への情報提供が義務として規定されたため問題ありません。
連帯保証人が情報提供を求めるとき、貸主が情報提供を行うときに、気をつけるところは、借主の債務の履行状況についての情報のみが対象となることです。

では、民法改正前と後ではどう変わったのでしょうか。

≪旧民法からの変更点≫

民法改正前
貸主は、連帯保証人から借主の賃料の支払い状況などを尋ねられても回答する義務はありませんでした。
仮に、賃料の滞納などがあっても、連帯保証人は借主から通知がない場合や、貸主から請求がない場合は不明なままでした。
変更
民法改正後
すでに不動産賃貸借契約が締結され、入居中である借主の賃料の支払い状況(滞納がないか、遅延がないかなど)について、連帯保証人は、貸主に対して情報提供を求めることができるようになりました。

一般的には借主に賃料の滞納があれば、その期間が1~2ヶ月程度でも貸主は連帯保証人に対し請求または通知することにより、借主も含めて対処していくことが多いかと思います。
しかし、連帯保証人が知らない間に借主の賃料滞納による債務や遅延損害金などが積み重なり、突然、多額の債務を負わされるようなこともあります。
過度な負担を負わせないよう、保証人を保護する変更となっています。

実務的には、連帯保証人が貸主との面識がない場合、物件の管理会社に相談のうえ、連絡を取るとスムーズかと思います。

個人の連帯保証人が保証する「元本確定事由」が新設!

元本確定事由とは、借主の債務の金額が個人の連帯保証人との関係において確定する事由のことを言います。
もう少し分かりやすく言い換えると、元本確定事由が発生した場合は、その時点における借主の債務の金額で、個人の連帯保証人が責任を負う金額も確定します。

個人が連帯保証人の場合に適用され、、法人や保証会社利用の場合は適用外です。

例えば、元本確定事由が発生した際に、借主の債務が100万円で、個人の連帯保証人の極度額が200万円であるとき、個人の連帯保証人が責任を負う金額は100万円で確定し、元本確定事由の発生後に生じた債務について、個人の連帯保証人はその責任を負いません。

具体的に定められた元本確定事由を見ていきます。下記の3つです。
1.債権者が、連帯保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
2.連帯保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
3.主たる借主又は連帯保証人が死亡したとき。

上記の1・2項の場合は、個人の連帯保証人に支払い能力がないもしくは不足している状況と考えられます。
3項は状況により、個人の連帯保証人が負う債務の内容が変わってきます。注意が必要です。

では、民法改正前と後ではどう変わったのでしょうか。

≪旧民法からの変更点≫

民法改正前
連帯保証人は賃貸借契約の終了まで借主の債務について保証する必要がありました。
変更
民法改正後
元本確定事由が新設され、それにより保証債務の金額が確定します。

まとめ

以上、民法改正による不動産賃貸借の連帯保証人への影響をまとめてみました。
旧民法では、不動産賃貸借契約において連帯保証人は、借主のすべての債務を連帯して保証するのが一般的でしたが、新民法では、個人の連帯保証人の債務を限定(極度額の設定)したこと、借主・貸主からの情報提供の義務化や、借主又は連帯保証人が死亡したときに元本が確定することなどにより、過度な負担を強いることがないよう、特に個人の連帯保証人を保護する改正がなされています。

民法のうち債権関係の規定(契約等)について、法務省のホームページにて確認したところ、「社会・経済の変化への対応を図るための見直し」「民法を国民一般に分かりやすいものとする」「基本的なルールを適切に明文化する」という観点から改正されたようです。
それとともに、近年の消費者(個人)保護の流れが反映されているように思います。

また、実務的な面から見ると、今後は賃貸保証会社との保証契約を必須条件とする物件が増えていきそうです。
なぜなら、貸主の立場から考えると、極度額を超えた損害が発生した場合などの対策となり、借主の立場から考えると、連帯保証人を個人の方に依頼することがさらに難しくなるからです。

事業用不動産の賃貸借契約において、上場企業やその事業規模や内容から貸主より保証人不要と判断された借主を除きますが、法人が借主となる場合はその代表者が連帯保証人になり、賃貸保証会社との保証契約も結ぶ形が一般化していきそうです。
近年では、賃貸保証会社の数も非常に多くなっています。
賃貸保証会社を利用し事業用不動産の賃貸・賃借をご検討されている方は、保証内容や保証料、特徴などの詳細を仲介業者から説明を受けるようにしてください。

最後まで、ご覧頂き有難うございました。

立和コーポレーションでは、検討段階からの事前相談も受け付けております。
事業用不動産を借りたい方」「貸したい方は、お気軽にご相談ください。

監修 株式会社立和コーポレーション
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